
芸妓検番「花館(はなやかた)」は、芸妓の芸の練習場として、大正9年に建てられ、
各置屋から派遣された芸妓が、お互いの技能(踊り・三味線・鼓・唄など)を
磨き合った場所です。
昭和40年代には400人近い芸妓たちが、それぞれの置屋(当時30件余りあった)に
所属していて、ここで旅館などへの斡旋やスケジュール調整を行っていました。
現在片山津に現役の芸妓はおらず、検番は寄席やライブ会場として使われたりしています。
【外観】
外観は風情のあるベンガラ格子。対光・耐水・防虫・耐酸性・耐アルカリ性の
いずれにも優れています。
【一階】
玄関を入ってまず目に飛び込んでくるのは、ずらりと並んだ稲荷提灯。
これらの提灯には、芸妓さん一人ひとりの源氏名を入れて奉納されていて、
大きな提灯には、置屋さんの名前が入れられています。
【二階】
二階は、大正ロマン風の60畳の大ホールとなっていて、芸妓さんの練習や
発表会場だけに限らず、町の人たちの社交場としても広く使われました。
柱が一本もなく、天井は折り上げ格(ごう)天井なのでかなり広く感じます。
毎日芸妓さんたちが、乾拭きや茶ガラで磨いていたので、ステージや床は
光沢のある黒色をしています。
ダンスホールとしても使えるようにと、畳の下はフローリングになっています。
また、ステージ両端の階段は2つをくっつけて洋風の階段としても使える設計でした。
現在は展示室として使われている奥の部屋は、当時師匠の休憩場として
利用されていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*展示室にあるものの一部をご紹介!*
☆芸妓札
芸妓さんがお座敷に上がる時、帳場で名札を黒から赤にひっくり返して
就業状況を確認していました。
☆黒留袖&高島田
松の内の期間、芸妓さんたちは、黒留袖をおひきずりにして、高島田に結って、
お客さんをおもてなししていました。
☆ガラス障子の桟(さん)
展示室の階段側にあるガラス障子の桟は、♨(温泉マーク)の形をしている
とても珍しいものです。